ガイヤニズム

vol.0

コミカフェどのようにして発生するのか~1・子育てママの市場づくり

2016年02月10日 12:45 by waenoi

分散された共同体を回復しようとする試みから提唱されたコミニティデザインだが、3.11以降「地域に密着した喫茶空間」としての営みが著しくなってきている。この発展形態は「コミニティカフェ(略してコミカフェ)」という地元の空きスペースを借りてカフェの形態をとり、そこで会話される地域の潜在的課題を解消かつ地元を活性させていく社会事業であり、一般の飲食店とは一線を画す。(ただし近年は一般の喫茶店も同様の要素をとりこむ店もあり、差異は縮まりつつある。その影響か一風変わったカフェをコミカフェ扱いにするケースも出てきている。<気流舎など>)

なかでも2013年10月に惜しくも閉業された慶応義塾大学が運営した三田の家と、芝の家が著名だが、主催者の大多数はNPOや一般社団法人等の法人格が占めているという。

地元の寄り場であり、客の持ち込むアイディアから多様な企画やイベントが生まれるローカルな穴場として定着しつつあるコミニティカフェだが、当記事ではコミカフェが発生するプロセスを随時追ってみたいとおもう。ここでは2016年に子育てカフェ開業予定の「イイトコマルシェ」を例にあげたい。

もともと育児に専念する主婦たちが、心おきなくまったり過ごせる場所はないかという素朴な要求から出発したイイトコマルシェ。自宅の空き場に特技と手持ちの物を主婦同士で交換しあい、育児ならではのストレスを発散する貴重な機会は現在、足立区関原商店街の一角で月に一度の第4土曜日を目安に定期市を開くまでに発展している。

 丁度この日になると商店の軒々に薄茶に刷られたオーガニックな宣伝紙が貼り付けられる。さほど目立たないが、一度目にすると森の奥から届く小さなお便りのようで、手書きのような温もりが伝わってくる。この道をしばらく歩いたところにイイトコマルシェがあった。

むき出しのガレージのようなところにコーヒーや洋菓子・ハンカチ等の布用品が売られている。マルシェ=市場というには露店のような風情であるが、都会にはそぐわない原始的な素朴さと活気に溢れていた。なにより子供たちのはしゃぎまくる歓声が響き渡ってかしましい。

マルシェの右手にあるパンケーキを目にした折に、主催者の阿部直子さんにであった。阿部さんは小柄で水をたたえたような穏やかな方で、こんもりしたショートカットがよく似合う。バスケットを抱えた彼女は、オレンジピールの入ったフルーツパンケーキの試食をすすめてくれた。「本物はもっとオレンジの皮を入れてより美味しいんですけど」と謙遜されるが、しっとりと香ばしいケーキは一般の市販にはない美味しさがある。

阿部さんとしばらく歓談してから、向かいの布用品のブースに寄ってみる。ランチョンマットや道具袋を販売される子育てママのスタッフさんは「いろんな方のニーズに応えられなくて申しわけない。子供をもっている私は、学校生活などの普段必要なものを考え、それを作って販売しているもので」と語る。

育児ストレスへの解消の場づくりを起点として始まったイイトコマルシェは2016年以降、安定的な居処としての「子育てカフェ」を創業する予定だという。こう聞くと子供と主婦のみに特化した印象が見受けられるが、実際のマルシェは男性や高齢者も立ち寄れるユニバーサル空間だ。それはやはりマルシェに群れる子供と、彼らの引き立て役を務める主婦たちの引力作用が働いているからこそだろう。現時点ではコミニティカフェの前身段階に当たる団体だが、いかに育児を基軸に、グローカルな人的交流を実現していくかが今後の課題となりそうだ。

 

 

コミニティカフェは一般企業同様に「各世代層」と「立地」を特定して開業するが、これらは地域における人間的なつながりや生活を実現するための誘引剤にすぎない。と同時に、地域に潜在する課題点であり、地域活性の重大なキーポイントとなりうる。

 

 

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